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新世代を背負う女性醸造家“セシル・トランブレイ”をご紹介。

新世代を背負う女性醸造家“セシル・トランブレイ”をご紹介。

コラム | 2023年11月10日 | ソムリエ吉間

今年のギド・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランス2024年でも2つ星を獲得したセシル・トランブレイ。
※ギド・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランスとは、グリーンガイドとも言われるワイン界のミシュランガイド。
フランスで最も影響力のあるワインガイドです。

数多くあるコート・ド・ニュイの生産者の中で、2018年から2つ星を維持しているのはすごいこと。
女性ドメーヌでは、4つ星はルロワ(オーナー:ラルー・ビーズ・ルロワ)、3つ星にポンソ(当主:ローズ・マリー)ラルロ(醸造・栽培責任者:ジェラルディンヌ・ゴド)ラ・ヴージョレ(支配人:シルヴィー・ボワイヨ) 2つ星に今年昇格したジスレイヌ・バルト(当主:ジスレイヌ・バルト)がいます。

大きなドメーヌが多い中、セシル・トランブレイの努力とは別で、評価される理由のひとつに、家系と畑が関係しています。

アンリ・ジェイエとの繋がり。

ブルゴーニュワインの神様と言われたアンリ・ジェイエ。
アンリ・ジェイエの父ウジェーヌは4人兄弟の末っ子、その兄弟の1人に樽職人であったエドゥアルド・ジェイエがいます。
エドゥアルドは1921年にエステル・フルニテと結婚し、フルニエ家の所有畑を相続したことからワイン醸造をスタートさせます。
言わば、ドメーヌの設立者。
その娘ルネ・ジェイエ(セシルの祖母)は1950年に同じ家系のミシェル・ノエラに畑をメタヤージュで貸すことなります。
2000年から土地代がワインではなく、ブドウで支払われる事になり、ルネの娘マリー・アニックの子供であるセシルが一家の畑を引き継ぎます。
2003年に半分、2022年には残りの畑も契約が終了し、畑はセシルが正式に継承しこれによりドメーヌ・セシル・トランブレイが設立されました。

至高の畑

本拠地はモレ・サン・ドニになってますが、セシルはヴォーヌ・ロマネ生まれ。
様々な相続した畑を持っており、代表するワインは、シャペル・シャンベルタンやエシェゾー、ヴォーヌ・ロマネやモレ・サン・ドニです。
2016年にはビオディナミの認証も取得してます。
今後、クロ・ド・ヴージョなど加わりますが、以前の小作人の農薬使用の為、セシルの畑になるのは時間がかかりそう。。

醸造

4haの畑から手摘みで収穫後、低温浸漬して木樽でアルコール発酵。
キュヴェゾンは約1ヶ月にもなります。
樽発酵は15~18ヶ月で、新樽比率は25~100%とワインによって様々。
清澄・濾過は行わず、ビオディナミ農法の為、月など天体の動きにあわせて瓶詰めを行います。

現在は、ロブレ・モレのパスカル・ロブレとパートナー。
同じ醸造所でワインを造っているとの話も。
フランスでは評価の高いロブレ・モノはグリーンガイド2つ星なのに、日本では目立たないのはなぜなのかといつも思います。

アンリ・ジェイエの血縁がどうしても目立ちますが、ワイン自体は違うスタイル。
アンリが100%除梗したピュアで繊細なワインに対し、セシルは豊富なタンニンと果実味のある骨格あるワインを造ります。
私と変わらない年代ですが、、世界のトップとも言えるブルゴーニュワインの世界で、あの次世代のルロワと言われるセシル・トランブレイ。
是非、味わってみて下さい。

顔写真

シニアソムリエ 吉間 崇行

JSA認定シニアソムリエ
HRS認定1級レストランサービス技能士
HRSテーブルマナー認定講師(西洋)
元ホテル阪急インターナショナル スペシャリティレストラン 「マルメゾン」マネージャー
2016年に地元神戸にてレストラン エスピスをオープン。マネージャー兼ソムリエとして勤務。現在に至る。