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【オスピス・ド・ボーヌ】ブルゴーニュワインを語る上でかかせない歴史的建造物、ワインオークションの原点はここから。

オスピス・ド・ボーヌと言えば、この建物の写真

【オスピス・ド・ボーヌ】ブルゴーニュワインを語る上でかかせない歴史的建造物、ワインオークションの原点はここから。

コラム | 2023年5月26日 | ワインソムリエ吉間

ゴシック・フランボワイヨン様式、鮮やかなモザイク模様の瓦屋根が非常に目を引く建物。
ブルゴーニュワインがお好きな方なら、一度は聞いたことがある名ではないでしょうか。
広大なブドウ畑を所有し、ブルゴーニュワインの歴史に大きな影響を与えた オスピス・ド・ボーヌとはどのような建物なのか。
少しまとめながら書きたいと思います。

貧しき者の宮殿

1443年に、ブルゴーニュ公国財務長官のニコラ・ロラン夫妻がボーヌに設立した施療院オテル・デュー(Hotel-Dieu) にはじまります。
この時代は、百年戦争が終結した時代で、ペストが蔓延し社会が混乱していた時代です。
戦争や疫病などで苦しむ人々の救済だけではなく、“貧しき者の宮殿”となるよう、長い年月をかけて建設されました。

治療費が払えない人々が多い時代、ニコラ・ロラン夫妻は自らの所有するブドウ畑を寄付します。
そのブドウ畑から造るワインの収益によって、オテル・デューは病院として貧しい人の宿泊施設として運営されていました。

オテル・デュー 宿泊施設と治療に使う薬など

オスピス・ド・ボーヌのワイン

1457年にギユメット・ルヴェルニエが最初にブドウ畑の寄進をして以来、5世紀にわたってこの伝統は続いています。
現在、ピノ・ノワール50ヘクタール、シャルドネ10ヘクタールの合計60ヘクタールのブドウ畑を所有し、支配人が選考した22人の生産者に栽培を委託しています。
所有畑のうち、プルミエクリュとグランクリュが85%で、自ら醸造したワインは毎年11月第3日曜日に競売会にかけられます。
現在、この競売会はクリスティーズに委託され、世界でもっとも有名なワインのオークションになりました。
競売会による利益は病院の設備やオテル・デューの維持に使われています。

ワインのラベルには、畑の寄進者の名前が記載されてます。
ルイ・ラトゥールのオスピス・ド・ボーヌのワインのように、落札したワイン(ブドウ)をルイ・ラトゥールが熟成・瓶詰したワインなどもあります。 その際は、ドメーヌの名前が入った木箱や、ラベルにも記載されています。

左写真はオークションで販売されるワイン

オスピスからホテルへ

余談ですが、オスピス(Hospices)は病院のことで、中世ヨーロッパの旅人などが宿泊する施設も同じ意味合いのホスピス(Hospice)と言います。
そこに滞在する客人を保護、おもてなしする意味からホスピタリティ(Hospitality)となり、そこからホテル(Hotel)と言う言葉が派生し生まれました。
25年前、ホテルに入社した際に覚えたことを思い出しました。

ブルゴーニュワインの歴史で、大きな役割を果たし、1971年以降は博物館となっており、病院の跡地を見学できます。
病院を見学と言うと日本では変なイメージですが、この観光で得た収入は今も病院経営の資金として一部充てられています。
ドメーヌワインとは違う、また違ったブルゴーニュワインを是非、味わって見て下さい。

顔写真

シニアソムリエ 吉間 崇行

JSA認定シニアソムリエ
HRS認定1級レストランサービス技能士
HRSテーブルマナー認定講師(西洋)
元ホテル阪急インターナショナル スペシャリティレストラン 「マルメゾン」マネージャー
2016年に地元神戸にてレストラン エスピスをオープン。マネージャー兼ソムリエとして勤務。現在に至る。