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ブルゴーニュ・テロワールの法則 ヴァンパッシオン・セミナー編①

ブルゴーニュ・テロワールの法則

コラム | 2023年2月3日 | ワインソムリエ吉間

「造り手の個性」「テロワールの個性」が表現されたファインワインを厳選。
「現地の味わいそのままに」最高の状態でお届けするインポーターである株式会社ヴァンパッシオン。
単一品種のブルゴーニュワインが、どのように個性溢れるワインへと変貌するのか。
ブルゴーニュ・テロワールの法則と合わせてご紹介いたします。

“世界基準3つの法則”

「水はけ」「斜面と表土」「気候」この3つの法則は世界のぶどう栽培の基本と言える法則です。

「水はけ」ぶどうが吸収する水分量は、土壌が保する水の量で変わります。
水分が多いとフルーティでボリュームが出ますが、エキスが減り病害も増えます。
水分が少ないと小粒で濃縮したぶどうになりますが、成熟せず青さと酸味が残りやすくなります。

「斜面と表土」表土とは、土壌層の最も表層部で有機物や砂利や砂などですが、斜面の上部は、表土が雨で流され薄く、水分がたまりにくくなりますが、平地である斜面の下部は、流れてきた雨と表土で水が溜まりやすくなります。

「気候」そこに日照量や風の当たる土地や標高で、ぶどうの成熟度がかわります。
同じ地域でも、標高・方角・斜面の位置が違えば、同じぶどうが出来ないと言い訳です。
これはぶどう栽培地なら世界共通の法則です。

“ブルゴーニュ4つの法則”

では、上記の法則を踏まえて、「品種」「土壌」「地層」「村」で単一品種のブルゴーニュワインは大きく変わります。

「品種」多くの生産者はシャルドネ種とピノ・ノワール種をブルゴーニュで栽培しますが、これは、土地の個性を引き出す品種がこの2つにまとまっただけ。あくまでもテロワールの表現が一番です。

「土壌」コート・ドールは全部がアルジロケリケール土壌(粘土と石灰質の土壌)この粘土と石灰質の比率でワインの質が決まります。そこにプラス鉄分が果皮を厚くしタンニンが生まれます。
粘土質が多いと、ふくよかで果実味、パワーのあるワインが生まれます。
石灰質が多いと、キレのある味わい、ミネラルと骨格のあるエレガントワインに仕上がります。

「地層」ブルゴーニュの地層は、ほとんど石灰質です。斜面の中腹は、樹の根が何層にも重なった地層に伸びる為、複雑なワイン(味わい)が出来ます。ですので、グラン・クリュの畑は斜面の中腹に多くあります。

「村」多くの村は、南北に分かれます。谷があり村が出来て、その両脇に畑があります。
もちろん土壌は村の端同士では変わりますし、隣の村のワインの味わいに近くなります。
ですので、村が同じワインでも畑の位置が違えば、全く味わいが異なるワインになると言うことです。

※例外の場所もあります。谷の北風が強い場所や泉部、急斜面でも肥沃な地などがあげられます。

“おすすめ生産者ワイン”

世界で最も複雑と言われるブルゴーニュの土壌を2つの品種で、その村、大地を表現します。
その表現に注目し、特徴あるワインを選出する㈱ヴァンパッシオンの生産者2つを紹介します。

“ファブリス・ヴィゴ”

ファブリス・ヴィゴ 1990年に当主になった頃は、技術を屈指し濃縮したワインを造っていましたが、アンリ・ジャイエ氏との出会いで、自然に忠実なテロワールを活かしたワインを造っているヴォーヌ・ロマネの生産者です。
そんなヴィゴ氏のワインの中で、特徴的なワインを2つご紹介します。

ヴォーヌ・ロマネ レ・ダモード
村名ワインですが、1級畑オー・マルコンソール、特級畑のラ・ターシュを囲むレ・ゴーディショの上部区画です。
斜面上部のため、表土が薄く水はけもよい為、非常に小粒な濃縮したぶどうから造られます。
ですので、ヴォーヌ・ロマネの中では、非常に色合いも濃く、骨格のある味わいです。

ヴォーヌ・ロマネ ラ・コロンビエール
レ・ダモードと同じ村名ワインですが、こちらは、下部の畑であり、水分が多いぶどうに仕上がります。
また、この畑は粘土質が多い土壌の為、よりふくよかで味わいのあるワインが生まれます。
同じヴォーヌ・ロマネ村のワインですが、是非味わいの違いをお楽しみ下さい。

“アルロー”

天才醸造家と言われる逸材の生産者です。
1998年に実質的にジブリアン・アルローがドメーヌを運営、弟と妹も加わり行っています。

今回は、3つの村の同ヴィンテージ。
ジュヴレ・シャンベルタン村:標高は真中、粘土質の土壌で、鉄分が多いテロワールです。
シャンボール・ミュジニー村:標高は真中、石灰質土壌です。
モレ・サン・ドニ村:標高は真中、上記2つの村の間の土壌です。
この3つの村は北からジュヴレ・シャンベルタン、モレ・サン・ドニ、シャンボール・ミュジニーと並んでいます。
当然、隣の村に近い畑ですと味わいも寄ってしまいますので、大きな括りの村名ワインを選びました。
土壌の違いを是非お楽しみ下さい。

アルロー / ジュヴレ・シャンベルタン
(2019年 750ml)
ふくよかなワインを生む粘土質が多く+タンニンを造る鉄分を含んだ土壌。男性的ワイン
顔写真

シニアソムリエ 吉間 崇行

JSA認定シニアソムリエ
HRS認定1級レストランサービス技能士
HRSテーブルマナー認定講師(西洋)
元ホテル阪急インターナショナル スペシャリティレストラン 「マルメゾン」マネージャー
2016年に地元神戸にてレストラン エスピスをオープン。マネージャー兼ソムリエとして勤務。現在に至る。