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ワインにおける自然の脅威。入荷がはじまった2021年ヴィンテージを解説。

ワインにおける自然の脅威。入荷がはじまった2021年ヴィンテージを解説

コラム | 2023年6月23日 | ワインソムリエ吉間

ヴィンテージとは
日本では、ヴィンテージと言うと長く熟成された、プレミアムの付いた意味で使われたりしますが、ワインではブドウの収穫年の事を指します。
その年の気候によるブドウへの影響は非常に重要で、それに対応する生産者の努力がワインに表現されます。
ワインがお好きな方ならヴィンテージを気にする方が多いのが事実です。

2021年の輸出額と生産量

ブルゴーニュワインは、過去15年伸びており、2021年も輸出額は15年前の2007年より58%も増加してます。
ただ、2021年は天候が1年を通して悪く、過去5年間の平均の3分の1になりました。
霜被害の時も、農業大臣が「今世紀最大の農業災害」と発表し、「霜被害への援助」として、地域限定でしたが霜被害を受けた農業従事者に対し援助を行ったほどです。

2021年の収穫量

2021年の収穫量は過去5年平均に対して、白ワインは32%減少。赤ワインは31%減少。ロゼは54.3%減少。クレマン・ド・ブルゴーニュは35.3%減少でした。
1944年以来の低収穫量になったのが2021年です。
ほんとうにワインを造るブドウが出来なかった年になりました。

低収量の原因

4月の春霜被害は、ここ数年の恒例になっており、2016年の被害が大きかった為、どの生産者も対策を行っていましたが、2021年はそれを大きく超えるもので被害が食い止めれませんでした。
大きく被害がでた3日間で、シャルドネのブドウ被害がひどく、南のシャロネーズやマコネ地域では全て失った生産者もいたそうです。
開花の時期は暖かく、乾燥して結実には理想的でした。6月に入って天候は悪くなっていきます。
8月までの夏期の間に雨が続き、病害の対策で生産者を困らせます。
また収穫時期の雨にも悩まされ、収穫のタイミングが生産者によっていつも大きく分かれますが、この年はシャブリもマコネも9月20日が収穫開始ピークと同じタイミングになったようです。

ここでもコロナの影響

ここでもコロナの影響が出ました。 前年2020年よりブドウが熟さない為、収穫時期が1ヶ月ずれこみ、オフの学生が新学期がはじまり雇えなかったりして人員確保困難に。
また、マスクの支給や、手洗いの水、抗菌対策などの完備が義務付けられたり、人との間隔が1mの場合はマスク着用、マスク無しは2m間隔が必要となり、生産者を困らせます。

希望のブドウ

1年を通して恵まれなかった天候ですが、ブドウは少なくても収穫されています。
2021年は酸度が高くなる予想で、補糖する生産者も増える見込みですが、 生産者が手塩にかけたブドウは、2021年ヴィンテージワインとしてすでに日本に入ってきています。
熟成させて飲むワインもあると思いますが、比較的若い状態から楽しめるワインが生まれていると思います。
生産量が少なく、お値段も高くなっていますが、自然の驚異と生産者の頑張りが感じられるワインを是非味わってみてください。

顔写真

シニアソムリエ 吉間 崇行

JSA認定シニアソムリエ
HRS認定1級レストランサービス技能士
HRSテーブルマナー認定講師(西洋)
元ホテル阪急インターナショナル スペシャリティレストラン 「マルメゾン」マネージャー
2016年に地元神戸にてレストラン エスピスをオープン。マネージャー兼ソムリエとして勤務。現在に至る。