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旬の食材“戻り鰹”とワインのマリアージュ

旬の食材“戻り鰹”とワインのマリアージュ。

コラム | 2023年9月15日 | ソムリエ吉間

今年は9月に入ってもまだまだ暑い日が続いていますが、雲の形や朝晩が涼しくなり、神戸もようやく秋を感じる季節になりました。
こうなると、食材が美味しい季節になっていきます。
レストランでも食材が豊富になり、シェフの腕の見せどころではと思います。
今回は、日本人には馴染みのある魚“カツオ”と合わせたいワインについて書きたいと思います。

鰹と赤ワイン

以前には少し書きましたが、カツオと相性のいいワインは、ピノ・ノワール種の赤ワインです。
魚なのに赤ワイン?と思われる方もいるかも知れませんが、赤身のお魚には白ワインより赤ワインがお互いを高めてくれます。
ピノ・ノワールは、軽い・優しいライトな赤ワインと思う方もいるかも知れませんが、意外とドライで、深みやスパイス、タンニン(ちょっと鉄のような味わい)があります。
国や地域などで異なりますが、香りは赤い果実などの華やかさの中に、細かいタンニンやスパイスなどは温度が上がれば謙虚に出てきます。

初鰹と戻り鰹

カツオは、春と秋の2回、旬がありますよね。
日本近海では黒潮にのって九州南部から北上します。
秋には、北海道南から三陸沖に達した際に親潮とぶつかって南下する季節的な回遊魚です。
また、血液をサラサラにしてくれるEPAやコレステロール値を下げてくれるDHAが豊富は個人的に嬉しい食材。
ビタミンB12が多いのも女性には嬉しいのではないでしょうか。

キレイな赤色の魚肉で、さっぱりした味わいの初鰹も美味しいですが、 今の季節は、脂がのったもっちりとした食感の戻り鰹。

足が早い食材ですが、代表的な食べ方の炙り鰹(カツオのたたき)が美味しいですよね。
家庭で炙るのはちょっと難しいですが、スーパーなどでは今の季節多く並んでいます。

鰹を炙った香ばしさと、赤身のお魚にある鉄分のような味わいや血合い、それを含んだ酸味を ドライなピノ・ノワールのきめ細やかなタンニンとスパイスの味わいが、絶妙に合わさりマリアージュします。

戻り鰹とブルゴーニュワイン

では、どのブルゴーニュワインで合わせばいいのか?
代表的な赤ワインの産地はコート・ド・ニュイです。
ジュヴレ・シャンベルタンなどはピノ・ノワールの中でも力強く、香ばしさや深みなども合いそうですが、 あくまでも食材はお魚。
鰹の味わいや特徴を覆い尽くして消してしまっては、良い組み合わせとは言えません。

オススメワイン

①一番にオススメしたいのは、コート・ド・ボーヌの赤ワイン。
白ワインの産地のイメージが強いですが、生産が赤ワインしか認められてない産地のひとつである“ヴォルネイ”です。
ボーヌの中で、力強いと言えばポマールですが、こちらも少し強すぎるかと。
ヴォルネイのワインはしなやかで、程よいタンニンと酸味が特徴です。

②二番目にオススメは、“コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ”
村名より広域ですが、通常のコート・ド・ニュイワインより格上で、5つの村だけで造られています。
ニュイの北部2つの村と南部の3つの村で造られ、基本ブレンドされます。
バランスがよく、それ以上にコストパフォーマンス抜群のワインです。
上記2つは、少し温度が低めでもいいかと思います。
炙った鰹も温かい料理ではないですからね。

③番外編は、熟成した“ニュイ・サン・ジョルジュ”のワイン。
骨格がしっかりしていて、タンニンも豊富です。
若いうちは鰹には強すぎますが、熟成により、カドが取れた丸みのあるニュイ・サン・ジョルジュは、鰹を程よく包んでくれます。
ちょっと贅沢なマリアージュです。

レストランでのマリアージュ

私が以前働いていたお店では、炙った戻り鰹にビーツとベリーのピュレを添えて出していました。
もちろんワインはピノ・ノワールの赤ワイン。
余談ですが、日本酒の向井酒造さんの伊根満開とも面白い組み合わせでした。
少し冷やし、甘酸っぱさとまろやかな味わい、どこか感じる古代米のポリフェノールが鰹を包んでました。

旬の食材が豊富な季節。ワインのマリアージュを探してみては如何でしょうか。
是非、鰹とピノ・ノワールも試してみて下さい。

顔写真

シニアソムリエ 吉間 崇行

JSA認定シニアソムリエ
HRS認定1級レストランサービス技能士
HRSテーブルマナー認定講師(西洋)
元ホテル阪急インターナショナル スペシャリティレストラン 「マルメゾン」マネージャー
2016年に地元神戸にてレストラン エスピスをオープン。マネージャー兼ソムリエとして勤務。現在に至る。