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150年続く歴史を、女性当主と支配人兼技術責任者が受け継ぐドメーヌ・ポンソをご紹介。

ドメーヌ・ポンソHPから。5代目当主ローズマリー・ポンソ女史

150年続く歴史を、女性当主と支配人兼技術責任者が受け継ぐドメーヌ・ポンソをご紹介。

コラム | 2023年12月8日 | ソムリエ吉間

今年のギド・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランス2024年でも3つ星を獲得したドメーヌ・ポンソ。
※ギド・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランスとは、グリーンガイドとも言われるワイン界のミシュランガイド。
フランスで最も影響力のあるワインガイドです。

モレ・サン・ドニにおける新興の大ドメーヌがデュジャックなら、伝統的大ドメーヌはポンソではないでしょうか。
昨年で150周年を迎えたポンソですが、2017年ジャン・マリー・ポンソの息子ローラン・ポンソがドメーヌを去り独立。
現在ローランの妹ローズマリーが5代目の当主を務めています。
醸造に関しては、支配人兼技術責任者でアレクサンドル・アベル氏が就任。
先日、アベル氏が初来日し大阪にてお話を聞く機会がありました。
それも交えて少し書ければと思います。

ドメーヌ・ポンソHPから。支配人兼技術責任者アレクサンドル・アベル氏

2017年から新しい責任者“アレクサンドル・アベル氏”へ。

1872年から続く歴史的大ドメーヌ。
2017年にローラン・ポンソがドメーヌを去り、醸造責任者としてアベル氏が就任。
家系以外の人間が就任したことは、ポンソの歴史の中では初との事です。
100年以上続くドメーヌに新しく参画したアベル氏が動いたことは、実にシンプルでした。

アベル氏は、ピノ・ノワールを学びに世界各国に行っています。
カリフォルニアのナパ・ヴァレーからチリに2年間。南アフリカとニュージーランドでも学び、ブルゴーニュだけでないピノ・ノワールの世界を見てきました。
また、樽を学びにアルゼンチでも修行を積んでいます。

そんなアベル氏が、ポンソで行ったことは、村、畑、区画(クリマ)など同じピノ・ノワールでも収穫日や作業のすべてをそれぞれ別々に分けて行ったこと。
えっ!?やってなかったの?と思いますが、2017年まではある程度まとめて行っていたようです。
ちょっとした土壌の違い、斜面の角度、日当たりなどそれぞれ違います。
それを細かく観察し、それぞれに適した作業、収穫時期を見極めて行うことでより良いブドウを収穫出来るようになりました。
より良いブドウが出来れば、それを活かす醸造に少しずつ変えながら、あとは伝統を守り続けているそうです。
シンプルだけど伝統を守りつつ、美味しいポンソのワインを造り出す。
すごく笑顔で語ってくれました。

ブドウ畑

総面積は7.5ha。(白ワインが20%、赤ワインが80%で内、グラン・クリュが61%、プルミエ・クリュが25%を締めています。)
モレ・サン・ドニとジュヴレ・シャンベルタンで、そのうち3.35haがグラン・クリュ クロ・ド・ラ・ロッシュの最大の造り手です。
モレのプルミエ・クリュ ブランにてアリゴテが1ha栽培されており、85%が1911年に植樹されたブルゴーニュで唯一の生産者。 13世紀からあるアリゴテの畑だそうですが、フィロキセラの被害にて、モレ・サン・ドニ プルミエ・クリュ クロ・デ・モン・リュイザンのアリゴテは全滅。
ポンソだけアリゴテを再植樹し、他の生産者はシャルドネに変えたとのこと。
先日のディナー会食で、2016年のクロ・デ・モン・リュイザンを試飲しましたが、誰がアリゴテと思うのか。
100年を超えるブドウの樹から生まれるアリゴテ100%のワインは、7年の時を経てようやく熟成したとアベル氏は言ってました。
マグナムボトルしか販売が無いので、中々飲む機会はありませんが、出汁を効かせた和食に逢うワインと感じました。

醸造:伝統と近代

白ワイン:
伝統的に自然発酵で、コンピューターによる温度管理を行っていました。
2017年から新たな取り組みで、
○圧搾する前に振動テーブル(選果台)で4回目の選果。
○空気圧プレス樹で全房(破砕はもうしない)圧搾。
○18時間の短時間設定で軽い濾過を行い、固形物を取り除く。
○SO2を使用しない圧搾と発酵。
○発酵はタンクで始まり、樽で終わる。
○熟成は14-18ヶ月熟成で新樽不使用。
○熟成中の澱引きはしない。

赤ワイン:
100%除梗、伝統的なブルゴーニュ開放式オーク樽で自然発酵。
コンピューターによる温度管理を行い、ルモンタージュとピジャージュで抽出。3週間のマセラシオンを行います。
2017年から
●除梗前に振動テーブル(選果台)で4回目の選果。
●破砕はもうしない。
●ポンプは使用せず、ワインの重力によって運ぶ。
●酸化から最大限守るため、ドライアイスを桶やその他のタンクに入れる。
●アルコール発酵前のSO2添加をしない。
●16-24ヶ月熟成で新樽不使用。
●樽でマロラクティック発酵。
●熟成中の澱引きはしない。

澱引きと瓶詰め:
瓶詰めの前に澱引きし、樽で2ヶ月休ませます。
2017年からは、
☆瓶詰めの期間をワインの熟成具合と試飲によって決定する。
☆汲む上げを可能な限り避けるため、重力によって移動させる。
☆移動、汲み上げ、瓶詰めは不活性ガス(CO2/窒素)の下で行い、SO2の添加を最大限に制限する。

ボトル

ラベルは特殊紙で造られており、輸出の際に高温になると黄色のインジケーターが赤色(オレンジ)に変わるようになっています。
実際、アベル氏とのディナーの際に、ライターで炙ると色が変わりました。手で擦ったぐらいでは変わりませんでした。
ボトルも、ポンソの工場にて瓶下に印字されており、コルクもブショネのリスクを無くすだけでなく、抜栓後に再利用出来ないようになっています。
瓶口には、NFCタグチップが付いており、スマホでスキャンするとボトルの真正性が読み取ることが出来るそうです。
※これは、日本企業TOPPNが制作したと言ってました。なぜか嬉しいような。。

伝統と革新

歴史のあるドメーヌだけに、変える事は難しいですが、ワインを美味しくすることには皆賛同したようです。
数が少なく、高価なワインが多いポンソですが、こだわりをすごく感じたディナーに参加できました。
コルトン グラン・クリュ キュベ・デュ・ブルドンの2014年と2018年を飲み比べた時、熟成の優しさの2014年と、アベル氏のブドウの強さを感じた2018年。
モレ・サン・ドニ プルミエ・クリュ キュヴェ・デ・ザルエット2018年はブドウの成熟間を感じる豊かなアロマを感じました。
アベル氏の伝統と革新が、ワインで感じることが出来ました。
クリマでは来週2006年のセットを販売。2017年以降のワインを今後入荷していきます。
是非、味わっていただきたいドメーヌです。

顔写真

シニアソムリエ 吉間 崇行

JSA認定シニアソムリエ
HRS認定1級レストランサービス技能士
HRSテーブルマナー認定講師(西洋)
元ホテル阪急インターナショナル スペシャリティレストラン 「マルメゾン」マネージャー
2016年に地元神戸にてレストラン エスピスをオープン。マネージャー兼ソムリエとして勤務。現在に至る。